りんちゃんの話
りんちゃんの話をします。
何人かには話したことあるし、聞いたことあるとか言う人もいると思うが黙って読んでください。
あと、これをりんちゃんが読んでたらそれはそれで怖い。
まず、りんちゃんというのは小生の幼稚園、保育園の時に同級生だった女子だ。
彼女は、いわゆる、女王様系ポジであった。
(本人はどう思っているかは知らない)
そして、あろうことか小生はその女王様に謎に気に入られてしまった。
誤解されては困るので、1つ言わせて欲しい。
自慢ではない。
もう一度言いましょうか、念の為。
じまんではない。
漢字が読めない方のためにわざわざひらがなにしたが、これだけは分かって頂きたい。
そして、その女王様に気に入られる前の小生は、りんちゃんのこととくになんとも思っていなかったのだが、一緒に過ごしているうちにその、ヤバさに気づき始めるのである。
早速エピソードを並べていきます。
その1
女王様、女王様事件
皆さんは「女王様」と聞いて、どんなのを想像するだろうか。
ちなみに小生は変態マスクを付けて、露出度の高い黒いピチピチの服を着てハイヒール履いて右手にムチ、左手にロウソクを持っているようなそんな女性を想像します。
いや、趣味とか、そういう趣味があるからでは断じてない。
話を戻すが、りんちゃんはどんなタイプの女王様かと言うと、
下僕に靴を履かさせる系女王様
である。
ここでいう下僕とは小生のことなのだが。
女王様に気に入られたその日から、彼女の小生へ対する対応が一変した。
保育園が終わり帰る時間になると、下駄箱へ向かう。
下駄箱へ到着するとりんちゃんは、あの、下駄箱のところにある段差に腰掛け小生に向けて、こう言い放つのである。
「小生、靴」
ここの「小生」というのは、小生の事を言っているのだが、
??????????????
もちろん、女王様プレイなどした事の無い純粋無垢な身体の時の小生、言っている意味が分からなかった。
小生?小生は靴ではないぞ?
と男子生徒に「先生!トイレ!」と言われた時の先生みたいな反応をしてしまったのである。
小生、女性に靴を履かせたことなどなかった。
女性に靴を履かせるのシンデレラの王子様くらいだと思ってた。
しかし、小生の体はいつの間にか勝手に動いていたのだ。
震える手で、
りんちゃん様の可愛らしいお靴を手に取り、
ご尊踵に我が穢れた手を添え、
女王様の御御足にそっと、
お履かせになりさせたもうことなかれ。
我に返った時には、彼女は上機嫌でピンクの靴で玄関を出ていたのである。
そしてそれに留まることなく、彼女は続ける。
「小生、おんぶ」
おんぶ????????
小生はおんぶではないぞ!
もちろん逆らうなどもってのほか。
小生、齢4歳にして上下関係の辛さを身に刻む。
その2
当たり強奪事件
その名の通りである。
ある日我が家に遊びに来たりんちゃんと、のんちゃん(とても心優しい良い子)とおおちゃん(男子)。
我が家の近くには駄菓子屋があり、我が家に来た子供たちは全員行く。(結構前に閉店した)
そこでおのおの百円玉を握らされ、駄菓子屋で好きなお菓子を買うのだが、小生そこで当たり付きの駄菓子を買った。
それが全ての始まりだった。
家に帰り、子供達は自分のお菓子を貪り食うわけなのだが、小生が当たり付きのお菓子を開けるとなんと当たっていたのである。
しかも、20円分である。
歓声が上がり、小生悦びの絶頂。
それが、りんちゃん許せなかったのである。
下僕が幸せの絶頂なんて、女王様は許せない。
小生が当たり片手に何と引き換えるか思考を巡らせていた時、りんちゃんの奇声が聞こえた。
聞いたことの無い、奇妙な奇声である。
意味が分からなかった。
小生当たりを引いただけである。
当たりを引いたのを見ただけで、普通奇声あげるだろうか、いや、あげない。
りんちゃんは奇声をあげながら小生の当たりを強奪すると、家を飛び出した。
小生は、ただその背中を見つめることしか出来なかった。
あと全然関係ないが、さっき行ったザグザグの様子である。
その3
小生、ブラック事件
その名の通りである。
小生はある日、単独でりんちゃん宅へ赴いた。
あいにく親同士が仲良しだったのである。
少年が女児の家へ単独で乗り込むのは、今考えれば中々、うん、中々。
なのだが、当時はそんな発想なかった。
それに相手は女王様だ。
加えて流石に家にはお母さんがいた。
そして本題である。
遊びの内容なのだが、おままごとなら良かった。
まだ良かった。
りんちゃんの部屋へ入り、2人きりになると、りんちゃんなんと、
脱ぎ始めた。
大胆&積極的
そして、戸棚から別の服を取り出した。
これである。
りんちゃん、なんと当時流行っていたホワイトになってしまったのである。
りんちゃんがイソイソ着替えている最中、小生気が気でなかった。
りんちゃんが着替え終わったら最後、小生ボコボコにされる。
「ザケンナー」やら「ゴメンナー」やらに見立てられ、ボコボコにされる。
手足を縛りあげられ、なすすべなく、顔とかも容赦なく殴られる。
とかなら良かった。
まだ、良かった。
りんちゃんはもう一着引っ張り出してきて小生に向かってこう言った。
「小生、ブラック」
もちろん、ここでいう「小生」とは、小生の事なのだが、ブラック??????????????????????????
あいにく小生、ブラックではない。
しかし、さすがに我慢の限界だった。
小生、なんとここで、一矢報いる。
「残念だが、小生、ブラックではない」
言えた。
ずっと言えなかった一言。
こちらとしても、プライドというものがある。
ここは譲れないのだ。
しかし、やはり、女王様はそんな下僕の戯言など聞かない。
「うるせえ、お前はブラックだ」
と、これからの人生一生聞くことはないだろう、一言で一蹴された。
世の中にこんなに脅されて変身するプ〇キュアいるだろうか。
小生、結局ブラックになった。
なんだか、新しい感じだった。
今までに感じたことのない、なんとも形容し難い心情であった。
あの時の胸に生じた違和感を今でも鮮明に覚えている。
その後、母親のところまで連れていかれ、可愛らしい輪ゴムで髪を結ばれた。
二つ結びである。
もちろん当時、髪の毛はそんなになかった。
あと今考えてみれば、ブラックの髪型、
全然ふたつ結びじゃない。
その時の自分は、新しい自分の姿に気を奪われており、そこまで気が回らなかったのだろう。
そして変身した後は、とくに~ごっことかするでなく、普通におままごとをした。
変身した意味が、分からなかった。
小生、やはり納得がいっていなかった。
なんで、小生ブラックにならないといけなかったのか。
小生。
小生は。
りんちゃん、小生は、
ホワイトが良かった。
小生、ホワイトの方が好きだった。
ホワイト、超可愛くないですか?????????????????????????????????????????????????????
あの眉毛。
けしからん。
衣装良すぎんか。
なんならホワイトになりたかった。
許せない。
りんちゃんのことは、許しません。
小生は心に深い傷をつけられ、トボトボと帰宅した。
家に到着すると、どんな惨状があったかを知らない母が、温かく迎えてくれた。
涙が出そうだった。
保育園を卒業して、少しして、母からりんちゃんの東京への引っ越しを告げられた。
何も思わなかった。
うれしいも、もちろん悲しくもなかった。
そして、今年から小生東京に住みます。
彼女はどんな女性になっているのだろうか。